paw prints

だれかの足跡

2015.5.18

外はすっかり明るくなっていた。それでも私はまだ起きれないでいた。おなじ枕で眠っていた人は、出かけなければならないと言っていた気がして、私も起きなければならないかと思いながら夢うつつのなかを彷徨う。頬や額に優しいぬくもりを感じて、たまらなくやさしい気持ちになる。朝は苦手だった。低血圧の自分には辛いことだらけだと思っていた。でも彼と迎える朝ならば悪くないと思えるようになってきた。今朝は一緒に朝寝をのんびりすることは出来ないらしい。私はまだ寝ていたいから、寝坊助をしたお詫びにおひるごはんをつくろう。何がいいかな、と考えながら私はまた眠りにつく。扉を閉める音を聞いて心の中で、いってらっしゃいと小さく呟いた。


✳︎

朝は苦手です。でも最近は良いところも見つけられるようになりました。それから、相手の帰りを待つ楽しさも知りました。待つばっかりじゃしんどくなるんだろうけど。散らかった台所を片付けたりおひるごはんを作ったりして待つのは楽しかった。ピンポンを聞いて玄関を開けて、おかえり、なんて恥ずかしかったけど、将来も言えたらいいなぁと思ったことは彼にはひみつにしておこう。



微睡みに口づけを