paw prints

だれかの足跡

2016.7.18

なにが本当で、なにがうそか。きっとその時は全部本当だけど、気持ちなんてその時々でまた変わってしまってそれもまた本当。あの人が言ってたことがよくわかる。でも、本当を探したくてわからなくなって、こころとからだが離れ離れになりそう。

手に入らない、二度とは戻れないとわかっていることはどうしてこんなにも甘やかな記憶になるのか。あの人の目が、初めてまなざしを自分の中で受け止めた瞬間が、あまりにも切なく鮮明に蘇る。多くの人がいる中で確かにあの時、目があって、その瞬間にきっともう恋に落ちてしまっていた。あの時の胸の小さなざわめきは、彼以外の人のまなざしが心に入り込んできてしまったことへの動揺と警戒と高鳴りだった。

彼を以前のように盲目的に好きだと思うことはできず、こころのどこかがあの人にひっぱられている。それでも、あの人のところに行く勇気も気持ちを伝えることも、いや、何を伝えたいのかもわからず。そんな気持ちから逃げるように、彼だけを彼を愛したいとおもうのに。いや、愛したいから、好きでいたいから彼のそばにいるのだろうか。
あの人を忘れるために彼を、彼のことを想いたいと、あの人から逃げようと、でも確かに彼が好きなんだ、だからあの人のところにはいかなかった、いけなかったのだと、思っているのか言い聞かせているのかも、もはやわからなくなってしまった。

堂々巡りのまま何もわからず、あのおとぎ話でみた恐ろしい蔦にからだが囚われていくような感覚を感じながら何かをまっている。



囚われの身を演じて。